2012/06/08

Serendipity---"Fortune favors the prepared mind."

Serendipity is luck, or good fortune, in finding something good.

それは予期せぬきっかけから、価値あるものを見出す力。

つい最近、大学受験で疲れ果てていた娘と気分転換にお台場の日本科学未来館に行ってみた。
娘はカリフォルニアの現地のミドルスクールに通っていたときはサイエンスの授業が大好きだった。ところが日本の授業では全くやる気がなくなるとなげいていた。

日本科学未来館は展示物にはすべて英語表記がしてある。
娘はそれを読むのがとてもおもしろい、勉強になると言っていた。
科学ナビゲーターという人たちもいて、DNAを取り出す科学実験をするのも、日本語が堪能なギリシャ人だったりして、グローバルな雰囲気が漂っている。

科学ボランティアの人たちもいる。白髪で白衣を着た元気なおじいちゃんがとてもいいお話をしてくれた。それはノーベル化学賞が生まれたきっかけについてであった。
くわしいエピソードは以下をぜひ読んでみてください。 
----------------------------------------------------------------------------------------------------
2000年のノーベル化学賞を受賞した白川英樹。彼の受賞理由はポリアセチレンという電気を通すプラスチックを世界で初めて発明したことによる。
このポリアセチレンは厳然の実験間違いから出現した。
1967年の秋、研究室の助手をやっていた時代に、韓国原子力研究所から来ていた共同研究者と一緒に偶然、金属光沢をしたプラスチック・フィルムを作ったのである。
白川は偶然できた金属光沢のフィルムを見て仰天した。何故、このようなフィルムができたのか、徹底して原因を調べてみたら、ある試薬を通常の1000倍の濃度で使っていたことに気づいた。

わかりやすい例で言えば、料理で塩1グラムを使うところを1キロ入れたようなものである。
それは通常とは違うものができるのが予想できますよね。^^;
----------------------------------------------------------------------------------------------------
このエピソードのさらにおもしろいところは、白川博士のその共同研究者は韓国人だったため、日本語での「1グラム」と「1キロ」の発音を聞き間違えたというのである。
その研究者の方も一生懸命異国の地で、日本語という難しい言語で頑張っていたのである。私は幸運を運んでくれたこの韓国人研究者にもノーベル化学賞のせめて一割はあげてもいいのではと思ってみたりするのだが。。。

さて、その白髪の老紳士のお話の主旨は間違いを恐れるな、やってみたらとんでもなくいいことが見つかるかもしれない。何もやらなかったら、何も生まれない。
問題意識をもってやっていたら、思いもよらなかったことから何かすごい発見があるかもしれないよ、ということだった。

本当に、そのとおりだ、と納得して、展示物を見ていたら、それに呼応するかのような言葉が目に飛び込んできた。それがSerendipityという素敵な響きの言葉。

娘が言っていたように、ここの展示物は英語のディスプレイのセンスがとてもいい。
Serendipityについては以下のように展示されていた。

ひらめく
創造力
SERENDIPITY

予期せぬきっかけから、価値あるものを見出す力。

Unexpected developments give us the ability to make fortunate discoveries.

「幸運の女神は準備のできた者のみにほほえみかける」
ルイ・パスツール (フランスの細菌学者)

"Fortune favors the prepared mind."
Louis Pasteur, French Bacteriologist

そうだ、Serendipityというのは準備のできた人が授かる力だ。
何も起こらないと感じるのは自分の努力が足りないせいだ。
きっと、本当に、真剣に知りたいことに取り組んでいれば、何気ないきっかけから、素晴らしい発見ができるに違いない。

そう考えて仕事にも取り組むと、やる気が出てくる。
Fortune favors the prepared mind.

そんな気持ちでやっていると、わくわくしてくる出来事がいろいろ起こる。
現実的にも知りたかった情報がふっと入ってきたりする。

ではこのSerendipityという言葉はどのように英語のセンテンスでは使われるのだろうか。

これなんかぴんとくるのではないでしょうか?
We all have experienced the serendipity of relevant information arriving just when we were least expecting it. 

全く予期しなかったような時にSerendipityを体験できるということが、最高にドラマティックではないでしょうか?