それは英国独特の表現、cuppa (a cup of tea)だった。
たとえばこんな風に使えます。
A: Would you like something to drink?
B: Yes, I'd love a cuppa.
いつも仕事でメールのやりとりをするロンドンオフィスの担当者の英国人女性のイメージはマーガレット=サッチャー。
仕事が非常によくできる、賢く鉄の意思をもった女性。
彼女のメールはたいてい非常にビジネスライクで無駄がなく、さらに丁寧で以下のような文で終わるのが常だった。
Thank you for your great help and support as always.
・・・中略・・・
Please kindly advise me.
Thank you.
といった感じで。
私は英国ドラマのシャーロック=ホームズの現代版"Sherlock"が予想以上におもしろかったのをきっかけに、そのドラマの中で使われていた英国人の生活の一部である紅茶にまつわる表現cuppaという言葉を突然使ってみようという気になった。
いつものやりとりの文末に数行あけてそっと
"It must be so cold in London. Please relax with a nice cuppa."
と書いてみた。
すると返事に彼女らしからぬ以下のような文章がそっと添えられていたのである。
BTW in your last email you told me to relax with a nice "cuppa" which is very British, how do you know such a word? Have you spent time in the UK?
注)BTW=By the way
私は全く英国に行ったことはないし、英国の文化にもなじみがなかったけれども、これをきっかけに私と彼女はやっとビジネス以上の関係を持つことができたし、私もすっかり英国ファンになった。
それからというもの、彼女が紅茶も飲むけれど、緑茶も好きだということがわかったり、イギリスのドラマでも彼女の視点からみておもしろいものなどいろいろと教えてくれるようになった。
やっと心を開いてくれて、本当にうれしかった。
英国文化に彼女を通してじかに触れることができ、私は自分がいかにアメリカナイズされているかを再認識した。
アメリカ人のフェローからの問い合わせや、アメリカの推薦機関担当者とのメールのやりとりなどは本当にチャット感覚で短いものが多く、こちらが懇切丁寧に答えても全く返事がないことも普通である。
私は米国に数年住んだり、米国系企業で働いたりしたので、そういう感覚がいつのまにかしみついていた。しかし、この英国をはじめとする、ヨーロッパ圏の人々の繊細な文章表現やコミュニケーションの豊かさには新鮮な驚きを受けている。
これからも様々な相手の文化に興味を持ち、親しみを込めて話しかけてみるということで、また新たな発見と感動が待ち受けているに違いない。
やっぱり英語をやっていて本当に良かったと思う。
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